M&Aエピソード

ホーム » エピソード » タイミング・立地条件・人とのご縁がマッチした事例

タイミング・立地条件・人とのご縁がマッチした事例

左:日本医療総合パートナーズ・富田佳祐 右:レモン薬局・千賀浩司氏

レモン薬局は2018年創業。堺市内に田出井店と鳳駅前店、西宮に上田店、松井山手に欽明台店を展開していたが、日本医療総合パートナーズ株式会社の仲介により、京田辺にある「つつじ薬局」のM&Aが成立し、5店舗の運営を行うこととなった。

代表取締役の千賀氏は、日本医療総合パートナーズの富田社長とは旧知の仲。薬剤師専門の人材紹介会社に勤務していた富田氏に、転職のサポートを受けたことがあったのだ。その後も連絡をとりあっていたが、千賀氏がM&Aに興味を持っていたときに、ちょうど良い案件の情報がもたらされた。今回のM&Aについて、レモン薬局の千賀浩司氏にお聞きした。

M&Aは今回が初めてだったそうですね

これまで4店舗を新規オープンさせてきましたが、M&Aは初めてでした。担当の松尾さんが具体的に「こうしてください。あれを準備してください」と的確な指示を出してくれたので、スムーズにすすめることができたと思います。わからないことがあっても、相談しやすい雰囲気もありがたかったですね。 

新規開局の場合は薬剤師の採用、建物の設計、ドクターとの面談など、やることがたくさんで1年くらいかかります。手間と時間はかかりますが、電話やネットなどはNTTがまとめてやってくれますし、建物に関しても専門の会社に任せますので、私自身はそんなに苦労とは思っていませんでした。

新規開局の場合は「以前のこと」は考えなくてよいのですが、すでに営業している店舗を引継ぐ場合は、少し勝手が違います。今回も元会社の電話の解約と当社の契約のタイミングが合わず、開局時には元会社の契約のままで、そちらから当社に電話代を請求してもらいました。初めての経験で、私一人ではとても処理しきれなかったと思います。

契約成立まで、とても早かったとお聞きしました

はい、異例の早さだと言われています。最初にお話をいただいたのが2021年の12月中旬、12月末には譲渡が決定して、2022年1月に手続きをして、2月には当社による店舗の運営が始まりました。

新規開局とは違って、スタッフや建物はそのまま引き継げるので、そのあたりはスピーディでしたね。しかし、レセコンが既存の店舗と違ったり、給与体系が違ったりと、色々すりあわせが必要でした。今回のM&Aをきっかけに、労務システムを全店舗に導入し、就業規則を作り替えました。年末年始の休暇や祝日の扱い、変形労働制の体系についても今回のM&Aで刷新することができました。

新しくなったつつじ薬局について

つつじ薬局については、一気に作り替えることはせず、一生懸命働いてくれている人たちと円満な関係を築いていきたいと考えています。スタッフに対しては、とにかく丁寧に話をしました。給与や勤務時間は変わらないことがきちんと伝わったことで、好意的に受入れてもらえたと思います。

つつじ薬局の株式会社エムロードさんは、神戸を拠点にした企業さまで、各地に散らばった薬局をまとめたいというご希望があり、当社の松井山手店と近い京田辺のつつじ薬局を譲り受けることになりました。こちらの薬局は内科の門前薬局で、ドクターは50代半ばの働き盛りの方。薬局のスタッフも変更がないので、ドクターにも安心していただけました。

後になって、つつじ薬局の譲渡には何社か手を挙げておられたと聞きました。手を挙げていても悩む経営者さまが多いそうですが、私は決断が早かったため、このチャンスを手にすることができました。ちょうど2月末が決算で、当社としても早く決めたかったという事情もあります。

千賀さんのこれまでについて教えてください

高校の部活の顧問の方針で、トレーニングメニューや食事などを、部員たちで話し合って決めていました。食事について考えるうちに、栄養士になりたいと思うようになりましたが、進路相談のときに担任の先生から「栄養も薬も口から入るもの。薬剤師という手もある」と言われ、薬学部を目指すことになりました。

薬剤師としての経験を重ね、富田さんに紹介された薬局で5年間働きました。独立支援制度がある会社でしたが、待ちの姿勢ではなく自分から動こうと独立を決意。新規開院にあわせて、田出井店と欽明台店を1ヶ月間隔で開業させました。その後も新規で2店舗オープンさせました。

日本医療総合パートナーズとの出会い

M&Aでは大きな金額が動きますが、富田さんとは元からの知合いということもあり、当初から信頼感を持っていました。私が独立した後も、富田さんから時々連絡をいただいていて、今回はそれが功を奏して一緒にお仕事することができました。ご縁とタイミングがよかったのだと思います。契約後もいろいろと動いてくれたのでとても満足しています。

担当の松尾さんは、こちらの質問に対しても「今から電話して確認します」と即対応してくれ、その電話で回答が得られなくても、調べてすぐに折り返しで連絡をくれます。話し上手なので、最初から打ち解けて話すことができました。譲渡主の社長さんとは2回くらいしかお会いしていませんが、松尾さんが間に入ってくれたので問題なく進められました。

これからのビジネスプランについて

新規の薬局、M&Aともに増やしていきたいと考えています。さらに介護分野についても視野を広げていこうと、個人的にケアマネジャーの勉強をしています。今後、高齢化はますます進むので、薬局と介護はお互いに必要な存在となってくると思います。介護施設のM&Aにも興味を持っています。

一人の薬剤師として私が大切にしているのは、患者さまに誠実に対応すること。今も現役薬剤師として、現場に立っています。経営者としては、みんなが気持ちよく働ける環境を整えること。きちんと働く人はきちんと評価し、できるだけ現場に足を運び、みんなの様子を見るようにしています。

M&Aを経験してみていかがでしたか?

譲渡までの期間が短かったので、目の前のことをこなすので精一杯。逆にあっという間に終わったという感覚ですね。これからもパートナーズさんとのお付き合いは続くと思います。松尾さんは「譲渡後も何かあったらと、よく眠れないこともある」そうですが、私はあまり気にならないタイプ。お金は「使ってこそ生きる」と考えているので、これからもよい案件があれば積極的にM&Aに挑戦していきたいですね。一度経験したので、もっとスムーズに進められると思います。知り合いにもぜひ紹介したいと思います。

今回のM&Aは、千賀氏と富田社長の個人的なつながりに端を発している。人材紹介の会社でエージェントと転職希望者として出会ったが、その後も交流を深め、ビジネスパートナーとして二度目のタッグを組んだ。

千賀氏は「いろんな人と触れあうのが好き。その人たちの人生に、関われることが好きなんだと思います」と語る。また「薬剤師として大切にしているのは、患者さまに誠実に対応することです」とも。

日本医療総合パートナーズの松尾氏はその誠実な人柄で、千賀氏の厚い信頼を得た。「私の役割は千賀さんが困らないようにすること」、「M&Aで大事なのは、トラブルなく継続して経営が出来ること」なのだそうだ。

今回のM&Aのキーワードは「誠実から生まれる信頼」。患者さま、働く人たち、まわりの人々に対して常に「誠実」であることからしか良いビジネスは生まれない。