調剤薬局のM&Aの現状

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調剤薬局業界は1990年代に始まった医薬分業から約30年経過し、経営者様の高齢化が進んでおり、世代交代の真っただ中です。

また医療費削減の影響を受けている調剤薬局業界は、斜陽産業と揶揄されており、生き残りをかけた取り組みが多くの企業で見受けられ、それはM&Aにも見受けられます。

今まではご子息様に承継されていた経営者様も、調剤薬局業界の将来性を悲観され、会社の安定した存続と従業員の雇用を守るため、大手調剤薬局と資本提携するケースや健康サポート薬局・地域連携薬局の認定取得、門前クリニックとの1対1薬局からの脱却を目的とした資金・人材確保のため、一部店舗の譲渡をするケースです。

収益性がよくない店舗を譲渡するケースは多く見受けられましたが、上記のように現在は企業の収益性の向上だけでなく、今後の展開も踏まえた計画的なM&Aが増えています。

譲渡先にも変化があり、今までは資金力のある大手調剤薬局や準大手調剤薬局が主でしたが、独立希望の薬剤師への譲渡が増加傾向にあります。

理由としては、現在金融機関への借入が容易になっており2,000万円程度は借入ができること、赤字の店舗の場合でも自身が薬剤師のため固定費(人件費)がかからず、借入返済をしても勤務薬剤師として働くよりも収入が増えることが挙げられます。

譲渡金額についても変化があり、厚生労働省の指針である『患者のための薬局ビジョン』の沿った将来性のある店舗は営業権の金額が5~7年とされるケースや、逆に薬価改定が2年から1年に変更となったこと,調剤報酬改定が2年であり先が見えないということもあり、営業権の金額が1~2年とされるケースもあります。

今後、営業権は低下傾向になる可能性が高いことから、企業存続を目的とした事業計画に沿ったM&Aでの譲受や譲渡のタイミングが重要となってくると考えられます。